Hausbesuch Europa


知り合いからチケットを譲ってもらい見にいってきた。
演劇の枠組みをユーモラスに問い直す劇団?というか仕掛け集団、Rimini Protokollの新作。以前フェスティバル/トーキョーが何度か呼んでいて日本でも既におなじみ。
タイトルはお茶の間でヨーロッパ訪問!ってな感じの意味。
チケットには時間と住所が書かれていて、普通のアパートの一室で演目?が繰り広げられる。
日も暮れかかった頃、プレンツラウワーにあるその住所に行ってアパートの呼び鈴を押すとどうぞ〜、と言われ中に入る。既に何人かが来ていて大きなテーブルを取り囲んで座っている。テーブルにはこれまた大きな布製のヨーロッパの白地図がかけられていて、司会役の人から「生まれた場所と最も長くすんでいる場所と印象深い場所をマークして線で結んで三角形を描いて」と言われる。自分の座るところに自分の名前を書き早速三点を考える。生まれたのは日本だから、、、と見てみるとロシアと中国の途中で地図は途切れていて「どうすればいい?」と聞くと「ここら辺に適当に丸しといて」と言われ、あとはヨーロッパで一番長く住んでいるベルリンと印象的だったパレルモに丸をつけとても細長い三角形を描いた。
こんな感じで。

時間になりいよいよスタート。司会の人に「さあ、これから始まりますがこの機械のボタンを順番に押して下さい。出てくるメッセージに従ってください。飲み物はキッチンに用意してありますのでご自由に。」と言われ変な機械を紹介される。オトコ心をくすぐるヘンテコ機械に一気にワクワクは募る。
これが機械ね。

つまりはみんなで新たな形のボードゲームをやるってことなのね。なんだか面白そうだなあ。
一人目がボタンを押すと伝票のような紙がジジジと出てきて、それを読み上げる。「さあ皆さんゲームがスタートしました。みなさんは今レベル1です。みんなで協力してレベル5まで皆さんのレベルをあげて下さい。そして皆さんで競争をします。一番ポイントを獲得した人には素晴らしい商品が待っています。」とな。
そして機械を隣の人に回しスイッチオン。機械からは様々な質問や要求が出されそれに従って手を挙げたり人を選んだり。
大きなくくりとしては人生ゲームの戦後ヨーロッパ版とでもいいましょうか。一応ユルいシミュレーションゲームのようになっていてそこにアクションが混じり、話し合いが混じり、投票が混じりってな具合。みんなでテーブルに耳をあてたりも。

途中「この中で一番遠い場所に友達がいる人は?」と言われほぼ全員が僕のことを指差す。そりゃそうでしょうよ!アジア人オレ一人だったし。すると司会者が「それではそれぞれ遠い人へ電話をかけてみましょう!」とノタマッタ!
おいおい、日本いったい何時だと思ってんだよ。
ま、乗りかかった船ではある。ゴメンと思いつつ麻世に電話。「ふぁ〜い、、、」と明らかに無理矢理起きたっぽい寝声で電話に出る麻世。「いやゴメン今リミニの新作で電話かけなくちゃいけなくて、、、」とよくあるテレビのハプニングのような展開を説明すると、彼女も何となく様子が分かったようで「ふ〜ん、じゃあねえ」となんとかミッションクリア。この時点で日本時間朝4時半!ごめんよお。
電話を切るとみんなが「で、誰にかけたの?」と聞いてくる。イヤ日本の彼女にかけたんだけど朝4時半でさあ。というなり全員爆笑!「マジで!そんな時間にかけてこられたらアタシ絶対別れるわ」とのたまう女子も。おいおいそこのきれいなお嬢さん、わかってると思うが僕チンも
好きでかけてるわけじゃない。
てなことを様々にクリアしつつ気付くとレベル5に。ここからはアンケートを元に二人一組のグループにわかれ一組づつiPhoneのようなデバイスを渡され、質問に従って投票を行ないポイントを稼ぐ競争に。最後に勝ったグループにはケーキが。そこからはいわゆる経済のゲーム理論に基づいたゲームが行なわれ(囚人の論理とかね)ポイントを競い合う。
そんな感じで戦後ヨーロッパの動きをユニークなゲームでたどるこの公演?はいつものリミニっぽい独自性とうユルさに溢れた楽しいものとなった。
最後にこの家のホストが(ホントのおうちでその持ち主もゲームに参加している)勝利しケーキを受け取ったのだが
「オレはラディカルコミュニストだからケーキはきっちりみんなで分けるぜ」と言ったときはやんややんやの拍手喝采。となった。
思えばラディカルコミュニストって急進的な共産主義者ってことでしょ?とても普段人前では言えないような日本とドイツの違いに軽く驚く。それをたとえギャグでもおおらかに言える空気はなんであれ健康的かもね。と、言論統制のような重苦しい空気が漂う祖国を遠く思うのでした。