Monochrome Circusとの出会い その2

ダブルビル

※公演情報は下にあります。

「さ、やりますか」といって坂本さんと裕子さんが立ち上がる。
二人はやおら立ち上がり、向かい合って慣れた手つきでコンタクトをはじめた。
コンタクト(パートナリング)については僕も岩渕多喜子さんのダンス公演に出た時にかなりしごかれてやっていたこともあって、馴染みもあり、ひとしきり見慣れてもいるつもりだった。お手並み拝見といった気持ちだったと思う。二人はゆっくり近づき手を絡めながらコンタクトに入っていくなり、裕子さんがひょい、と坂本さんの肩に乗った。そして肩に乗ったまま流麗に動きが続く。ニコニコしながら、しかもとても滑らかに位置をスイスイを変えていく。首の切り返しとか膝を引っ掛けたりの、経験者にはわかる難しいポイントをなんの途切れもなくつなぎつつ動き続けていく。
「あ、この人たち、できる。」
手始めといいつつ、信じられない滑らかさで動き続ける二人を見て「京都ってこんなヤツいたのか!」と密かに舌を巻いた。東京にはこんな人たちいなかった。もちろんその当時、東京でもそこそこにコンタクトがうまい人たちはいたけれど、みんなこれ見よがしに技としてコンタクトを使ってる感じだったのね。彼らのコンタクトを見た時に、2歩くらい先を行ってると思った。
ひとしきり動いたあと、ホストの方々をはじめ僕らもやんやの拍手の中、公成さんが話し出した。「コンタクトの動きってどこかで繋がってまた分かれて、そんな動きなんだけど、仏教用語の「縁」みたいなものだと思うんだよね。」と、とても流暢な英語でみんなに語りかける。そのときはまだ彼が京大出身だって知らなかったし、ひょえー、英語も話せんのかよ!と単純に驚いてたんだけど、「Buddhist term, ”Yen”」と両手で円を描きながら語った様子をとてもよく覚えている。とても素敵なコンタクトの紹介だし、素晴らしいイメージを与えてくれた気がして、二人のダンスを見終わった後も余韻が広がった。
彼らはピアニカをカバンから取り出し、それを吹きながら楽しげに踊り出した。聞いたことないけど、どこか郷愁をそそるあのメロディは果たしてなんの曲だったんだろうか。彼らが”旅するダンス”と称して世界中で今回のような出前ライブを行なっていると聞いたのは、パーティのお酒がだいぶ進んでからだったと思うけど、その名の通り、世界を踊りながらさすらっていく彼らにとても合っているような、素敵で物悲しいメロディだった。彼らとの出会いは、そんな風に、とても印象的で鮮やかだった。

賑やかな彼らの演奏と踊りがひと段落して、「じゃあ、僕もやりますか」と山崎広太さんが立ち上がる。
以下続く。

京都のダンスカンパニーMonochrome Circusとのダブルビル
2月10-11日@カフェMURIUI
公演情報はこちら
www.junjunscience.net