up&down


今日は朝から夕方まで。軽くミーティングをしアップ。そのまま直しに入る。振りの幾つかをカット。後はひたすらタイミングと切っ掛けとテンポと動きとハーモニー。つまり全て。とにかく踊っているときの視界が狭い。直ぐ隣でユニゾンしている人を見ていない。だからずれていても気付かない。自分の動きを把握していないからどこが違っているかもわからない。そのくせ自分のタイミングになると自分の時間で踊り出す。前と次の人を合わせた流れになっていることが意識出来ない。
僕もいい加減腹が立ちつつ強めでピンポイントのダメ出しを繰り返す。「その隙間を抜けるときになぜこいつを見ない」「目の前のヤツとユニゾンなのに何故感覚をシェアしないで一人で踊る」「腰が高い」「ターンで自己愛に浸るな」「こいつが動くからお前が反応するんだよ。今のだと完全に出来レースだ」「リアクションが薄い」「そのタイミングはボケを殺してる」「棒立ちで待つな」「しっかり押し返せ」等々。かなり荒っぽい言葉になるが作品を上げる為だけでなく一歩間違えると怪我をしかねないため、もう魚河岸や工事現場のノリである。
午前中に一回通しようやっと流れが落ち着く。軽く流れを振返り休憩。午後にもう一度通す。ここで初めて女子チームの見学あり。
一気に十人以上のギャラリーを迎えた通しは頭からテンポが走りトチ狂う。そのまま間やタイミングもスベり気味で全体の出来は大きく後退。お前らいい加減にせえよ。とメモを書く手も怒りで震える。まったく昨日今日ダンス始めたビギナーかと。今まで何してきたんだよ。終わってバックヤードに引き上げこんこんとダメだし。彼らは一応神妙に聞いているが時折トンチンカンなコメントを返す一幕もあり激怒。「そのコメント、全然的外れだから」全く灰皿があったら投げてるわ。この期に及んでのあまりの理解力のなさに。
世の中には様々な踊りがありその多様性こそが素晴らしい。ユルい踊りも文脈次第と趣味次第。たまたま彼らと作っている今回の作品が彼らにとって身体も頭もハードなクオリティを要求しているということ。そこが見えている以上僕には彼らをそこまで連れていく義務がある。彼らもまた然り。怪我と疲労の問題さえなければ夜通し稽古したいくらいでまたそれくらいやらないと間に合わん。30代初めのまだまだ無理が効く男子4人である。
負けてもいいから一点取ってこい。



afterimage 8th 「ダブルビル」@愛知芸術文化センター小ホール
2016年6月10(金)〜12(日)日
公演情報