GWからの京都_久々の身辺雑記

今年のGWはお休みを満喫した。
会社は暦通りの休みで3日から5連休。割と穏やかな社風で5月1、2日を休んで9連休の人もちらほら。こうなると休日に挟まれた出勤日もなんだか真夏の登校日のようでちょっと楽しい。取引先も休みが多く仕事も休日モード。いやあGWを普通に満喫するなんて何年ぶりだろう?わくわく。
連休初日の5月3日は青山のドイツ文化センターで行われたジゼルヴィエンヌのWSに参加。ジゼルは人形劇出身の演出家で何年か前のフェスティバル/トーキョーで作品「こうしてお前は消え去る」を見た。一面に生い茂るというより、切り取ってきたような森の風景が目の前に立ちはだかる。いやマジで実際に大きな木を何十本も立て込んでいてね。おまけに上演途中でその森が観客席もろとも霧に包まれるんだから。そんなアホのような美術の中で繰り広げられる数人の秘め事のような佇まいや、怪しい空気(セリフは一切なし)はなんともILLな感じがして。その時見た印象は決してよかったというわけではないのだが、圧倒的な物量は熱量とイコールでその創作の一端に触れられればと思い。
WSでは20数名の各ジャンルのアーティストが集まる賑やかなものとなった。体と場所のリサーチと言葉と体と空間の関係をそれぞれ探る。特に後半やった戯曲の一部を(2019年初演に向けて準備中とのこと)みんなで演じてみるのがとても刺激的だった。主人公の少年の役を役者と人形とセリフを分けて演じさせる。その時はもちろん人形はなかったので人形の役を人間が演じたんだけど。多層的と同時に主観映像的というか回想シーンのような感じに場が立ち上がってくる。いや、映像的といっても目の前で行われているものなので、へんな膜がかかったみたいに感じられてね。前半のダンスのワークでも思ったけど、役者の「役を演じたい!」とかダンサーの「あんな風に動いてみたい」という欲求からは対極の演出なのね。そこらへんは人形劇出身だなというか、人を超俯瞰から動かしている感じで独特の冷たさがある。ちょっと残酷でもあり。演劇のWSなんてのもほぼ初めてで新鮮でした。終わってお酒を飲みながら話そうなんてのもさすが大人のゲーテですな。日本の文化施設もちょっとは見習え。と思いつつ、しかし夜待ち合わせがあり泣く泣くその場をあとに。
夜は大阪在住のミュージシャンが、パリから来た友達を連れて東京見物に来て、合流した麻世とともに彼らを居酒屋へ案内する。フレンチの彼はノイズ系のミュージシャンでベルリン繋がり。ベルリンに何年も住んでいてその後大阪へと移り住んだボヘミアンを絵に描いたような彼はもちろん、パリでライターをやっている詩人の友達もこれまた風来坊な雰囲気で気のいいやつだった。先日別のパーティで知り合ったミュージシャンが同じくノイズ系ということで「一緒に飲もうよ!」とお誘いし、居酒屋での飲みは楽しく盛り上がる。日本の居酒屋は楽しいらしく色々つまむが中でもただのキャベツをにんにく味噌で食べる前菜がいたくお気に入り、それを3回くらいお代わりする。味噌は体にいいんだよ。アミノ酸「Amino acid!」だからねというと「アシダミネ?」とフレンチで返す。フランス語だとacides aminésなのだった。
いい感じで居酒屋を出てさあ次どこ行こうか?と聞くと「ゴールデン街に行きたい!」とのこと。なんで知ってるの?とびっくりしながら聞くと今日本旅行向けの海外のガイドブックでも一押しのスポットらしい。電車に乗り新宿へ向かう。思い出横丁を抜けて西新宿の高層ビル街を眺め「この風景はリドリースコットがブレードランナーのイメージにした眺めって言われてるよ」と説明すると「Oh!」と写真を撮る。そのまま歩いてゴールデン街へ向かう。来るのは何年ぶりだろう。しばらく来ない間にすっかり外国人で溢れている。ひょえええ、もっと寂しい空気だったじゃんかここら辺!大混雑のゴールデン街に驚きつつも、まあ、ナイトスポットとしてはものすごく楽しいよなあ、と。こんなに小さな飲み屋が集まってる場所ないもんね。地方もでっかい駐車場のモールなんかより、寂れた駅前にこんな一角を作って開放すれば、いい町おこしになるだろうに。しかしすごかったなあ。ゴールデン街
明けて4日は実家へ。お正月ぶりだったかな?母の誕生日ということもあり、顔を出す。久しぶりに一晩泊まり次の朝は近所を散歩。いつからか実家へ泊まった朝は近所を散歩するようになった。自分が育った風景が割とまだ残っており、小さかった頃のことを思い出したりしながら、なんとなく散歩するのがお気に入り。昔火薬工場だったあたりが公園になっており、早速覗いてみる。森に囲まれた中にあったその火薬工場は、僕の子供の頃にはすでに稼動していなかったと思うが、独特の時間の止まったような雰囲気は、昔イタズラでもぐりこんだときに見て覚えている。当時の建物は、防空壕のような土豪がわずかに形を留めているだけでもう残っていないが、極力自然を残してちょっと「ほったらかし」気味にしつらえた公園の有り様は悪くない。いやはやここが横浜とはね。しかも同じ町内。いい散歩スポットを見つけたなあ。夕方に東京へ戻ってくる。
6日土曜は午前稽古。休日は朝に稽古場を取って稽古をするのが、最近発見したペース。まだ人声の少ないスタジオでヨガに始まり一連のアップをこなしワークを。これまた最近やりだした秘密ワークが楽しくていそいそと励む。14時まで。遅めのお昼をスタジオが入っている団地の商店街にあるお弁当屋さんで買い、ベンチに座り子供たちがうろちょろするなか頬張る。ここは北区の大きな団地で昭和の風景が色濃く残っているというか、どことなくポーランドっぽい。昔の社会主義国に来たみたいなのね。ワルシャワも団地多かったなあ。ネットの記事ありました。こんな感じ。ゆっくり麻世と弁当を食べ、いい天気なのでそのまま川沿いを自転車で走る。そのまま北上し赤羽へ。自転車を置いて街を散策。ここも昔ながらのアーケードがあり、軒を連ねる焼き鳥屋や居酒屋に混じってちょっと洒落たバルなんかもあったりして、どこも昼からいい賑わい。みんな、あと1日休みあるもんね!と男女問わずグイグイと杯を仰いでいる。飲んでいこうかとも思ったが家に帰ってゆっくりやるべえと白を買い込む。こんな休みの中日、まだ日が明るいうちに飲む白ワインは最高である。至福なり。
休みの最終日7日はちょっと変則的だった。休み明けの月火で京都へ出張が急遽決まり、ならそのついでに静岡でやっている演劇フェスを覗きに行ける!と急いでチケットを抑えたのだった。うまいこと会社の交通費で途中下車のチケットも買えて、一足早めに京都に入る日程で静岡のフェスティバルに呼ばれているジゼルヴィエンヌの作品を見に静岡芸術劇場へ。
『腹話術師たち、口角泡を飛ばす』作/演出ジゼルヴィエンヌ
ドイツの腹話術劇団Halleとの共同制作で服術師たちが集まる国際会議という設定。原題は「The Venriloquists Convention」とあり、腹話術師会議(コミコンみたいなニュアンスかね?)となる。とするとこの日本語タイトルは昔の映画タイトルのようにちょっと粋でいい感じ。今は映画のタイトルにこういうセンス欠けてるよなあ。
本題に戻ると、作品はアメリカのどこかで開催された腹話術師の国際会議に、世界各地の腹話術師が集まりそれぞれが語り出すという内容。売れっ子や、トランスジェンダー、そしてちょっと"キテる"人形師など様々な登場人物(&人形)が虚実の被膜を照射する。席が遠かったのもあって途中少々中弛みしたが、それは僕の趣味の問題。トレイラーはこちら。

劇場では名古屋のafterimageのメンバー菅井くんと会う。彼は本業が制作なのでチェックしに来たとのこと。熱心なり。
まだ明るいうちに京都へ。知り合いのスタジオに厄介になる。京都もGWに当て込んでKYOTOGRAPHIEなる写真系のフェスティバルをやっており。スタジオの美奈さんの知り合いのサーカスアーティストが、そこでイベントをやるとのことで近所ということもあり見に行く。
新風館という取り壊し中の建物の中で行われていたそのイベントは、男女のデュオでマイムとダンスとシルクを淡く混ぜたようなパフォーマンスだった。途中セットが崩れるアクシデントに見舞われつつもなんとか終わり、見守る一同ホッと胸を撫で下ろす。客席に渡邉尚くんを発見。久しぶりだなあ。今や大活躍の彼ですがひょっこり帰国していたらしい。聞けばあと3週間くらい京都にいてそこからまた別のフェスティバルに行くとのこと。話していると「じゅんじゅんさん打ち上げ行かないんすか?僕これから行きますよ」と言われ「あ!」と思い出す。そうだ、今日まで京都では京都国際ダンスWSフェスが開かれていたのだった。モノクロームの面子を中心に知り合いも多くいるであろうその打ち上げに、行こうかどうしようか迷いつつ(明日は早いしな〜)と逡巡。結果疲れてたのもあって行かなかったんだけど。一緒に行った美奈さんからも「カミーユたちと飲みに行くから行かない?」と誘われたのだが、それもお断りし帰って寝る。さすがに1日で移動し2本見たのは疲れた。
8日月曜はお仕事。京都と大阪をレンタカーで行ったり来たり。取引先へ荷物を運ぶ。大阪や京都を車で走るのも気持ちのいいものですね。いい天気だったし。夕方には片が付き、借りた自転車で早めの銭湯玉の湯へ。うひゃあの一言。夜にジロウと会う。公演で定期的に会っているが、それ以外にもここんところ出張で京都界隈にちょくちょく来ており「結構来ますね笑」と言われる。毎回素晴らしいフードを担当してくれる島貫さんも交え、今年の作戦を楽しく錬る。
9日火曜はそのまま京都で仕事を終え恒例おみやげ、ル・プチメックのクロワッサンを買って東京へ。新宿のマルイにも店舗入ってるんだけど、なぜか京都の方が美味いような気がするのもミーハー気分のなせる技か。忘れずにクルミのタルトも買い込む。
いや〜今回GW超満喫したなあ。月火は出張だったけど知り合いばかりの京都でGWの続きみたいだったしね。
休養充電十分。さあ、新作に向かっていくのじゃあ。