46歳のハローワーク 後編

さて、履歴書郵送で応募した会社はどうなったのか。
幾つかの会社は薄い封書が届きあえなく撃沈。助成金の不採択通知と同じフィーリングの封筒で見た瞬間に「落ちたな」とわかる明解なサイン。結果出した6通のうち5社は書類選考で不採用。ひとつだけ電話があった。「面接に来て下さい」と社長から直々の電話。ここはプリントで履歴書を提出した会社。手書きで提出した会社は結果的に全て不採用となった。どうやら手書きかどうかはあまり関係ないのかも。と判明。ま、だから何だという話ではありますが。
もう一社、「面接を早速」との会社に行ってみる。何かの営業のコールセンターで基本電話の受けらしい。やったことはないが詳しい話はまずあってからとのこと。スーツなんぞは持っていないので一応キレイめのシャツを着込み、プリントアウトした履歴書を持参し会社を訪ねる。あまり大きな会社ではないようでいきなり会長と面接。履歴書を見ながら、「ふーん、外国にいたの」とか「舞台の仕事をしてるんだ」とか言われる。そして会長がいきなり仕事の説明で「コールセンターは女性の人にやってもらってるんだよね」とノタマッタ。ああ、ここでもかよ〜。だったら始めから言ってくれないかなあ。とがっかりしていると
「高橋君、営業やらない?」
と聞いてきた。
なんでも車でお客さんのところを回る仕事があってそれはどうか、と。上手くはめられた気がしないでもないが、なんとか仕事にありつけそうだ。営業仕事なんてどうやってやるんだろうかと思うが、初めて会った人と話すのは普段からやってるんだしまあ何とかなるかと思い、笑顔で「やります!」と答える。しかしここで再び踏みとどまる。自分の本職と平行して出来るかが大問題なわけで、迷ったが一気にこちらの要望を伝える。「残業は基本的に不可」「まとまった日程で仕事を休む可能性がある」という2点。我ながらヒヤヒヤしながら話したが無理ならば今断ってもらった方がお互いに傷も浅い。「ふ〜ん」と聞いていたが「ま、いいだろ」と会長はあっさり了解。ををを。俺、食い扶持確保したなあ。
「来週から来られる?」と聞かれ「はい」と返事。面接の帰り道はなんだかこんなにもあっさり決まったことに拍子抜けした気持で電車に揺られ帰った。その二日後、冒頭で書いた履歴書を送った会社の面接。これって内定獲得して次の会社に面接に行く感じだな。少々罪悪感を感じつつもいかない手はない。こちらの会社は海外向けの精密機械を輸出する会社で英語が使える人を探しているとのこと。英語といっても実際にやり取りをするわけではなく簡単なメールや仕様書が読めれば問題ないとのことで僕程度の英語でも何とかなりそう。社長は穏やかそうな感じの人で彼にも自分の仕事との兼業希望を伝える。ここでも「一人で担当する仕事ではないし他の人と都合が付けば問題ないでしょう」と言われほっとする。こちらの仕事も後日連絡が来た。「お願いしたいが諸事情があり来年の3月から雇いたい。ついては変化球を投げさせてもらって、そのときに改めてうちに来たいとなれば受け入れますが、もし他の会社が決まればそちらに行ってもらって構わないということでいかがでしょうか」となり、結果的に二つ仕事が見つかったことになった。取りあえず最初に面接した会社にお世話になることに。早速働いています。46歳のハローワークはなんとか成功。履歴書はどちらもプリントしたもので職が見つかった。
う〜ん、実際にこういうことって当たってみないとわからないものですね。たまたまなんだろうけど、それにしても僕みたいな人間に時間の融通の効く仕事っていわゆる「マックジョブ」しかないと思ってたから、はなから無理だろうなと思ってたんだよね。一応行ってみようと覗いたハローワークに本当に感謝。
さあ、日本でもがんばるぞい。作品作るぞお。