「ダンス と ごはん」〜二日目

今年から日程を調整して夜の回のみにしたため二日目の今日はのんびりした入りに。各自アップ後に場当たりをし、スタッフやご飯チームの準備も整い落ち着いた感じで夜を迎える。

今日は一つ一つの間に小話を挟もうということになり主にジロウと僕で出て行き話を繋ぐ。昔のフォークシンガーのコンサートのようだが、こんな会もあっていいじゃんね。ジロウはダンスについて、二言目には「ダンスってよくわからないじゃないですか」という枕詞がつくのだが、彼のその疑問を道案内にしてダンスを覗きに来るお客さんってこの会には結構いるみたいなので、解説を入れる試みは案外効いてると思われ。
無事に本番を終え、お客さんと色々話しを。印象的なコメントを二つもらった。一つ目は毎回来てくれているカップルで「この会に来ると今年も一年終わるんだなと思う。」というなんともジーンと来るコメント。彼らの冬の風物詩としてこの会を位置付けてくれていることがとても嬉しかった。毎回続けてきて根付いて来たんだなと。二つ目はこれまた毎回来てくださる方で「じゅんじゅんSCIENCEのデュオは明るい」という感想をもらった。これは最初意外な気がした。僕らのやった作品は純粋なダンスでただ淡々と踊るだけ。ともいえるような抽象的な作品だったので。色々話を聞いて、この「明るい」ということはおそらく「clear」ということなんだなと。やっていることが明快だということを言っているんだなと。これも大変に嬉しいコメントで。というのも今回作ったデュオはある意味「受けよう」とか「楽しませよう」という気持ちを振り切って作ったものだったから。いつもそうありたいと思うのだけれど、公演ともなると責任あるから、どこかで「楽しませないと」「ウケを狙いたい」という気持ちは捨てきれないのね。ま、人によっては「どこがだよ!」とおっしゃる向きもいらっしゃるでしょうけど。ま、あくまで自分の中では、よ。そんな下心を一回置いて作ってみよう、というかそういう力みが抜けてきたのでしょうね。割とすんなりそういう方向で作れたのです。もちろんその外側では「バランス悪いからもう1本入れとくか」とか考えてはいたのですけど。読んでる人は一体なんだろうとお思いでしょうから、簡単に今回お披露目した作品をコメントとともにあげておきます。いわゆる「山下達郎のCD自作解説方式」でいってみよう!
タイトルの後のカッコは振付&出演者です。
1.線と面(じゅんじゅん)
空間に線を描くことから広がっていくイメージの作品。いわゆるマイムのテクニックで紡いでいくパターンの動きで、いつものやつではありますがご機嫌伺い&紹介として作ったもの。見にきた建築家の方から「あれ、僕も昔製図するときに同じように考えて描いてたんです!」と興奮気味の感想をいただく。主に男性からの評判が良かったような。
2.はらから(アミジロウ)
ジロウの新作。体のある部分の小さな動きが発展していき、ついには全体を覆う。事前に映像を見てコメントをやりとりして作った作品。ダンスでよくある入り口ではありますが、こういう作品はどのように発展させるかが一番の肝で、割と素直に発展させて作った感じかと。楽しそうにやっている様子が良かったと思う。
3.thursday(久井麻世)
2013年にポーラ財団の派遣研修でベルリン滞在時に彼女が製作した作品で向こうで上演&再演もしている。黒い衣装と頭を下げて顔を一切見せないスタイルが意外に新鮮だったようで高評価をいただく。本人は「地味だしどうしようかな」と上演を渋っていたが「どこが地味なのよ」とセットリストに入れる。結果いい感じのリアクション&多くの感想をもらってました。創作にまつわるエピソードも印象的な1本。
4.れっつ⭐︎ぷれい(益田さち)
今回初参戦の益田さちさん。初日のネタ見せで「あ、この人できるな」と思った。作品は、はっきりいうと初期のROSASの精神を忠実にトレースしていて、厳格なまでの反復と展開が繰り広げられる。おまけにちょっとあえての女子っぽいところも初期ROSASフリークと思われるが、総じて精密な作りに感動。照明のイメージもはっきりしていて、素敵な作品でした。
5.T.K.O(アミジロウ)
ロッキーのテーマが鳴った瞬間笑いが漏れ、そこから一人の男の戦いが浮かび上がる。ジロウらしさが炸裂した作品で、彼のキャラクターが作品と良くあった1本。自分のトーンを見つけるってなんにせよ難しくて重要なんだけど、ジロウのこういうテイストもっと見たいと思えた作品でした。
6.Orbit(じゅんじゅんSCIENCE)
今年作ったデュオで、正直今年後半はこれ1本にずっとかかってました。9月に東京で一度発表してから怒涛の手直し。最終的には音楽も変更して全く違う作品に仕上がった。一つ動きを足しては一つ抜き、あそこのテンポをゆるめてはここのリズムを変え。と。自分たちはなんとか面白さが見えるところまできた気がするが、正直どのように受け止められるか見えないままだった。稽古の後半で知り合いのドラマトゥルクに見てもらい、やりたいことは見えているとの意見をもらいようやっと峠を越えた気がした。益田さんに「色々経てここまで来たんだなあと思いました」とのコメントをいただき、あ、お見通しね。と。
7.おまけ(じゅんじゅんSCIENCE)
真面目な作品が多そうだし、ということで用意してきた作品。こういうの久しぶりだけど楽しいっす。またどこかでやれるといいなあ。おまけのため詳細は書かないでおきます。
そんなこんなで盛りだくさんの内容でおもてなしができたのではと自負してます。ご来場の皆さま、ありがとうございました。そして残念ながら来られなかった皆様もいつかどこかでお会いできる日を楽しみにしています。ご飯チームのネコさん、素晴らしいご飯の数々ありがとうございました。サンドイッチ一つでお腹いっぱいになりました。制作チームのみなさまもありがとうございました。益田さちさん、素晴らしい作品を上演してくださりありがとうございました。そして最後に、制作から出演までジロウお疲れ様でした!