最終日

今日も朝からしんしんと雪が。雪の時ってすごく静かでカーテンを開ける前からなんとなく「雪かも」ってわかるよね。あれちょっといい瞬間だな。日曜の茅野もそんな感じだった。雪が止むことを願いつつホテルを出る。劇場には10名ほどの参加者が集まってくる。もうみんな振りは入ってるからか表情にも余裕がある。確かに寒いのだがせっかくのCM撮影を存分に楽しもうと衣装や髪飾りも一段と派手に。昨日「明日の衣装も今日と同じがいいですか?」と聞かれ「え?」と聞き返すと「いやカットの繋がりとかあるじゃない」と早くもタレント気分。「いや別に繋がりとかないし笑。気にしないで好きな服を着てきてくださいな」と話すとその瞬間に隣の人とああだこうだが始まるのね。いやもうみんな出たいんだな〜と。ま、ダンスってコンテンポラリーダンサーもみんなそうだけど見るよりやる方が好きだからやってんだもんね。見るより一緒に踊って楽しみたいってのは真理よね。
スタジオで軽めのアップの後これまた近くの川沿いから撮影スタート。ロケハンではいい天気だったのだが雪が降る中はなかなかに残念な絵面になりがち。今回本当に映画なんかの撮影で「天気待ち」の意味がわかったよ。太陽の光があるとないとでは絵の迫力というかコントラストというか全然違うんだよね。ああ、ロケハンのあの頃に撮影したかった!ま、自分の公演で無理だったんだけどね。それにしても、冬でも晴れてさえいれば全然いい絵になるのだけど、こういう時に雨男かよ〜。
それでも撮影の時には雪は止んでくれてね。寒いながらも撮影は快調に進んだ。


ラストのロケ地寒天蔵の前でも撮影。ここ茅野は寒天が名産でもともと繭蔵だった建物を寒天の貯蔵に使っている歴史があってね。それがまだ幾つかだけど残ってるのね。しかしそれも時の流れに連れて減っていって、きちんとまだ残っているのはいくつかしかない。もともと個人で所有していたものだから公共の遺産としてサポートが入っているわけでもなく滅びゆく運命なのね。これ素晴らしい文化遺産なのに、そしてそのすぐ横では素晴らしかった江戸時代からの甲州街道が無残にも道を広げる工事の真っ最中。こういうのを見ると本当に悲しみがこみ上げてくる。よそ者だから地元の人が生活が便利になるってことに口出しするべきじゃないってのもわかるけど。このすぐ横にもうおっきな道路があるんだよ。そっちを通ればいいじゃんねとよそ者は思うわけだけど。
せめて今ある風景を映像でも残しておこうとフラッシュモブの裏側にそんな思いを込めて、しかし楽しくハッピーに撮影は進む。みんな雪の中大盛り上がりで踊るモブは冬空に笑い声と共に広がっていった。やんやの盛り上がりの中全撮影終了。みんなの顔の楽しそうなこと。いい時間だった。
まだ早い帰りの新宿行きあずさに乗り込んだ頃雲が切れ、晴れ間が見えてくる。ああ。んだよもう!と残念至極だか仕方ない。綺麗に夕日を浴びる八ヶ岳を見ながらごとごと揺られていると反対側に富士山が見える。
売店で買いこんだハイボールをごくりと飲んだ。