Open Rehearsals

シアターハウスでやっている、ワークインプログレスを持ち寄り見せあう会。
ダンスの時もあれば演劇の時もあるしはたまたマイムの時もありと雑多ながら楽しい企画となっている。今回はダンスの持ち寄りで日本人の特集というかほぼ日本人のダンサーの会となった。僕はいま取りかかっているソロを10分ほど見せる。一応頭と終わりをつけた。音も仮であてる。照明は明るく簡素に。
他の作品も見る。それぞれの向かっている方向が垣間見え興味深い。
観客と終わっていろいろ話す。今回は好き嫌いがまた一段とはっきり。ある知り合いは感想を聞いたら逃げるように帰っていった!他の知り合いは肩の力の抜けたたたずまいがよかった、とも。一組だけ出ていたドイツのダンサートリオには激賞された。終わってからも捕まって滔々と感想を述べられる。様々な感想をもらったり話したりしたけど一番印象的だったのはその一組だけ出ていたコッチのカンパニーの振付家が「これワークインプログレスの会じゃなくてもうパフォーマンスじゃん!私焦って急遽始まる前に今取りかかっている内容をコメントしたんだけど」といっていたこと。結果的にそのコメントがいい雰囲気を促しワークインプログレスの会である、ということを観客に改めて認識させ直したんだけど、僕ら日本人ってワークインプログレスってなじみがないよね。だもんで人前で見せるんだからと音響照明もがっちり気合いを入れてしまうなあと気付かされた。僕も衣裳買ったし。彼らはジャージでやっていてね。う〜む、人前で何かやる以上はつねに「ジャッジ」されてしまうししてしまうんだけどだからこそ今回みたいな企画は「in progress(途中)」であることをきちんと認識する/させる必要があるのだなあと思った。あくまでOpenなrehearsalだからね。そしてここからどう発展させるかなんだなとも。

実は先週に知り合いのマイムデュオの公演を見てね。
一年くらい前にリハーサルを見てくれと言われて稽古をのぞいたことがあったのよ。30才前後のカップルで僕が教えている学校の出身者。男女の出会いと付き合い始めの様子を楽しく描いていて、好感は持てたんだけど「で、これどうすんの?」って感じだったのね。だから正直彼らがリアルに付き合いたてでそれで楽しくて作ってんのかなと。その余りにナイーブな印象に正直う〜んと思いつつ感想を話した。
でね、これがホントにがらっと印象を変えてきちんとした作品になっていて。
出会いとその後の冷めていく様子とまた仲直りをするのかしないのか、という男と女の普遍的な問題を見事にマイムとダンスで描いていた。それも動きと演技がシームレスに繋がっていて日常の生活の繰り返しが踊りになり、そしてその繰り返しの中に変化が見え互いの意識が遠ざかっていく様子が視覚化される。マイムの捉え方、使い方も通り一遍ではなくて本当によく磨かれていた。いわゆるパントマイムな瞬間はいっこもない。
楽家が二人いてそれとのカラミも素晴らしく。その音楽家が時にエキストラになり出演者になりという手法も効果的で無理がなく(音楽家のブースがバーになっていて店員になったりする)上手いなあと。街のノイズのような効果音と音楽がその場でDJのようにミックスされていくスタイルも新鮮だった。ここまで発展させた彼らの想像力と構築力に拍手。
まだ生まれたての素材と立派に育った作品の両方を見てワークインプログレスの意味を改めて考え直したんだよね。あくまで過程を試す場で、目の前の反応が全てでなくどれだけその先を見通せるか。オリジナルはそんなに簡単に生まれないし、だからこそ挑戦する価値があるのだなと。
彼らの稽古では全然わからなかったけど公演を見てある映画が頭に浮かんだ。「ブルーバレンタイン」とか「ビフォアサンライズ」とか見た?って聞いたらもちろんってニヤリとうなづいた。了解了解。十分コンテンポラリー(現代的)じゃんと。

話は大きく戻るけど今回のショウイングはそんなことをいろいろ考えさせてくれるいい機会となりました。そしてこれからの作業に向けて大きなエネルギーをもらったし。やること見えてきたぞう。
そして最後になりましたが
ご来場いただきありがとうございました!