12-Spartenhaus


以前に話していたヤバいお芝居の記事です。観に行った日は6月23日です。
12-Spartenhaus
意味は12の分野、ジャンルの家とかなんとか。
今回ネタばれします。それと食事中の人は読まないで下さい。
と、書く感じでご想像がつくかと思う、、、。さ、始めるよ。
会場はVolksbühneの別館であるPraterというところ。元々19世紀に出来た公園でビアホールがついているのですがそれと一緒に劇場も併設されているのね。それをVolksbühneが別館として運営しているのよ。劇場の外はこんな感じ。

通りに面して入り口があるのはいい雰囲気ですね。
で、なんで観に行こうと思ったかというと話は2年前。僕が帰国してからガビがこの演出家のお芝居を見たのね。曰く、グロテスクでキッチュでえぐいけどなんだか面白かった、と。それで気になっていたのね。同じ劇場で新しい演目をやるとのことで知り合いの出演者にチケットを取ってもらい観に行った。
演出家のVinge / Müller / Reinholdtsenという三人組はノルウェーの人らしくベルリンでやっていたフェスティバルで見いだされVolksbühneのバックアップで作品を作っている。バックアップといっても単なるサポートではなく劇場を丸ごと改装して独特の美術でおとぎの国のような、まるでディズニーランドのアトラクションのような見世物小屋に作り替えているのね。かなりのお金をかけている。つまり劇場イチ押しの企画ってこと。で、時間が来て会場に入るんだけど、ロビーにスクリーンがあり演出家のVinge(多分ね)がライブ(生)で喋っている姿が映し出されているのね。2階の楽屋の窓から顔を出しているところを横でビデオで撮っているのが外から見えた。
そんでもってマイクの声を変えているので子供が喋っているように聞こえる。参考までにこんな声よ。映像リンク貼っておきます(これは舞台の映像ですね)。

で、楽屋でマイクに向かってこの声でずーっと喋り続けているのよ。それがピエロのようなマスクをかぶってその上にカツラを着けている。しかも始終コーラを飲みながらげっぷを連発。なんだか変なヤツだなあとおもいつつ、促されるままにロビーにある様々な部屋(おそらく客席下にあたる部分)を観に行く。キッチュな美術の部屋がいくつもありそれをガラス越しに眺めて回る。部屋の中はこんな感じ。かわいい美術でグロテスクだけどファンタジックで、センスいいなあと。ま、今思えばそのあたりまでは平和な時期だったのよ。

しかし、いっこうに客席には入れず、ロビーにたむろして相変わらずスクリーンを眺めるのみ。彼はなんやかんやずっと喋っている。これ、このままいくんかいな?と思った辺りで驚くべき展開に。
さあいきます。
ピエロの仮面をかぶったvingeが楽屋の床にポスター大の紙をおいたかと思うとパンツを脱ぎ、おもむろにウ○コをしたのだった!ぎょええええ!映像越しとはいえいきなりウ○コかよ!しかもすかさず第二弾を放つ!そのときカメラの方に向けたツーケーが大画面に!出るところがっつり映ってるんだよおおおおおお!
さすがにキワモノ好きなベルリンっ子たちも「ギュオエエエエ!」と声にならない声をあげる。これ、頭からワンカメでカット割ってないから絶対にマジでしてる。もうどうしたもんかねと。ちょっとヤバいかもと思って母を連れてこなかったのですが(母は二本目から合流)よかったなあと心底思ったよ。
どうなるのかドキドキしながらも見てると、いいですか、










その自分のウ○コをカリントウのようにつまんで手でこねくり回し落書きのように絵を描き始めやがんのよ。おえええ!ですよ。みんな失笑&ちょっとあいつ大丈夫か?という不安がよぎる。もしかしてヤバいヤツなんでは?そんなことしながらもずーっとマイクで喋ってるし。しばらくして出来上がったウンコ(もう伏せ字いいよね)の落書きはVolksbühneのあのロゴに!そのままヒートアップした彼はウンコを泥パックのように自分の顔にナスリツケタ!ここら辺で本当に怖くなってきた。あいつマジでヤバいよ。彼はそのままその紙を持って楽屋の窓から外に掲げた!その窓は劇場入り口の上にあるのよ。急いで入り口に向かうと彼がマイクで喋りながらそのアブナいポスターをひらひらさせており。うわあ。ロビーからは野次馬がおすなおすなの勢いで表に出てきて、通りの人は「なんだ?」と止まり上を見ている。
マイクでゆるゆると喋りつつ皆に愛想を振りまいているヤツがその紙をヒョイっと手放してしまった!ウンコで描かれたロゴがひらひらと舞い落ちる!!!ギョエエエ!と知っている人は逃げるがいきさつを知らない通りがかりの人は「あ、なんか紙が落ちてきたねえ。」とのんきに見ている。みんなアブナイぞおおお!ウンコが降ってきてるんだよおうううううう!!!!!!
幸運なことに誰も被害に遭わず紙はひらりと地面に舞い落ちた。それを見てヤツは「誰かひろってくれよう〜」とノタモウ。一人の勇者(っていうか物好き)がおそるおそるひろうと「壁に貼ってくれよ〜ん」と頼む。スタッフがテープを持ってきたので劇場の入り口にそのポスターが貼られる。しかしウンコ。どうなってんだよ! あ、そこの通りがかりの人、そのポスターに近づくんじゃない!
この時点でもうかれの一挙手一投足に釘付け。というよりアブナくて何をするかわからないため目が離せない。だって楽屋から階段を下りてきたりしたんだよ。もしかしてロビーに来るのか?ウンコまみれのヤツが?そりゃパニックだろ。っていうかあいつ、ホントに来るんじゃねえの!?と心臓バクバク。
その後は、結局ロビーには来なかったんですが、さらなる奇行へ。今度は天窓から屋根に上がり、カメラを待たせて向こうの家まで屋根を綱渡りのように歩いていく。でもってカメラの前に戻ってきて「あああぶなかった、あぶなかった〜!」だってさ(ココだけ英語だった。他はドイツ語)もうバカかと。おまけに屋根の上から立ちションですよ。スタッフ止めろよもう。
これ、リアルジョーカーだよ、バットマンの。ヒースレジャーより数段怖いわ。ホントに何考えてるかわからない。話が通じない感じが画面からビンビンに伝わってくる。子供のように無邪気にふるまい善悪の判断が「無い」感じ。笑いながら人を刺す人ってこいつみたいなんだろうなと思わせる恐怖が全身を貫く。最初は笑ってたけどもう笑顔も凍りついてますよ。
ご乱心はまだまだ続く。楽屋に貼ってあるメモ書きにもいちいち指のウンコをなすり付け、あらゆる部屋に行き、シャワーでウンコを流しつつ血糊を出しておもちゃの包丁で手首を切る。「Mutter,Mutter!(おかあちゃん、おかあちゃん!)」と叫びながら。全く意味わかんない。あげくの果てに劇場のレターヘッドのついた手紙を出してきていちいち読み上げつつ「ふざけんな」とかいっている、これ、おそらく契約書だよ。大丈夫なのか?公にして。最後に「Frank Castorf」とドイツ語でサインがあり。芸術監督直々の契約書じゃん!それにブーブー文句を言っている。もはやトリックスターの様相を呈してくる彼。
二本目の時間だったので途中で劇場をでたが、この後どうなんのか気になってしょうがない。正直いってマルターラーどころじゃありませんでした。かあちゃんに「昼間のお芝居はどうだったの?」って聞かれたけど一体なんて答えりゃいいのさ!
後日同じ日に見た知り合いに話を聞いたのですが、そのまま客席に入ることなく彼のビデオ中継のみで終わったそうです。
なんでも劇場側と演出家がガチで喧嘩をしているらしく、それで劇場に抗議しているのでは?とのこと。別の人曰く「客席を燃やした」りしているそうで、どっちがひどいんだかわかりませんが、それにしてもそういう抗議も含めて社会に話題として提供していく劇場側の太っ腹さというかやけっぱちさというか、そういったものがあるのでしょうかね。日本では考えられん。
まったく、圧巻の「パフォーマンス」でした。次のジョーカーお前がやれよ。おれ、推薦するわ。
まあどこまでガチなんだかはわからんけどね。しかしウン○はガチ!俺見たもん、出るところ、、、。

気をつけろ。こいつがVingeだ!(多分)