亡くなる日々。

とある人が亡くなった。
僕にとってとても大事な人でかけがえのない人だった。

あまりに突然で、そういった瞬間にテレビや映画のタイトルのような「使い古された」言葉しか出てこないことが忌まわしく大事な思いを先に使ってくれるな、と勝手な思いで満ちあふれた。しかしその言葉はまさにふさわしく、安いドラマのタイトルひとつにも才能を削っているのだなと今さらながらに思いを馳せる。
そして今さっき。
今度の作品のタイトルに昔買ったレコードのタイトルを使いたいと思いつき実家に電話をかけたところ「とっくの昔に処分した」と言われ、それよりも「昨日裏のおばあちゃんが亡くなった」という話を延々とされた。
もちろん今聴けるのかどうかすら分からない古ぼけたレコードよりお世話になった人の旅立ちの方が大事なのは重々承知の上で乱暴に語るが
俺にとっては大切な思い出が亡くなったことの方が全然大事なんだよ!裏のババアとかよりもなああ!!!!!
と心の中で叫びつつ、「自分にとって大事なことを優先する」のは遺伝だな、と諦めの境地で電話を切った。
昨年暮れに父を亡くして以来、「大切なものがなくなる」ということに遭遇するが、そんな中ゲンナリするのはオノレのエゴイスティックさね。
「一番のダメージはレコード」ってな自分自身になによりもダメージを受ける。
つくづく勝手だなと。