PERRINE VALLLI


これ、チケットとパンフです。パンフは白黒のコピー。チケットは入るときに上のところを"もぎり"の人が少しちぎるのね。知らなくても困らないベルリン豆知識。
さて次に見たのは、スイス拠点のアーティストPERRINE VALLLIのJe pense comme une fille enlève sa robe
家の近所のTanzbühne Berlinが会場。ここは150〜60席の小劇場って感じでダンスがとても見やすい。Toulaというカンパニーの持ち小屋。うらやましい。昔はこうした廃墟や使っていない建物がかなりあって、ダンスカンパニーや劇団が格安で借りることが出来たりしてたらしいけど、今はもう家賃もバブル気味。
フランス語のタイトルを訳すと「私は女性が服を脱ぐように考えます。」ですかね。commeがコムデギャルソンの「少年のように」の「ように」だから(likeってことね)そんな感じかな。パンフによるとバタイユの本のタイトルとのこと。邦題を調べたら「私は娼婦が服を脱ぐように考えます。」だって。これならイメージしやすい。テーマはズバリそのものの売春についてとのこと。それを「-without wearing out clichès(パンフより)」だから、ありきたりのパターンでなく描く、と。
本編はというと女性二人のデュオで、美術は机と一枚の衝立のみで昨日の作品とうって変わって全部黒い。
舞台はゆるゆるとした感じで何となく始まる。机の上と下のゆっくりとしたユニゾンに移り、やがてリノリウムのテープをはがしていくと、その下が白い点線になっており。シーンが進むに連れて舞台のいくつかを仕切るような点線が現れてくる。机に乗ってみたり、床に寝そべってみたりとたたずまいそのものを見せていく狙いが強いように感じた。
割とコンセプチュアルな作風。というと聞こえはいいが、全体的にぼんやりとした流れで五里霧中な感じで、何を描きたいのかが分かりずらい。「けだるい雰囲気は計算で、踊らないのも作戦」ってはわかるとしてもさあ。だとしたら途中途中で免罪符のようにちょっとマジメに踊るの何なのよ。しかもクリシェ投入してくるしさあ。売春ていうと、まあイメージは女の裸じゃん?そこをどんな抜け道で攻めてくるのかなって思ってたけど、当然のように脱いだね。途中でまず一人が全裸になるのな。そこは見ている方もぎゅっと集中が高まった感じで「やっぱおっぱいは万国共通だな」と思ったけど。(あ、何となく男性多いと思ったけどそういうことか?)その後舞台奥に売春宿の入り口を思わせる映像が浮かび、その前で二人とも裸になってけだるく飛び跳ねるのよ。「え、ベタベタやん」と思ったよ。あまりにベタで、逆にそういうの新鮮なのかなと勘ぐってしまったくらい。もう新しい"なぞかけ"かと。その後ちょっとヒトガタの映像と絡んだりしつつ、出て来た点線を最後に繋げて終わり。着たり脱いだりは都合4回ほど。
黒いテープをはがすのはどういう意味とか、最初と最後に出てくる小さい人形(ヒトガタ)は何なのかとか、これもういっそクイズにでもしてもらった方がすっきりしていていい。答も分かるし。
こういう、「問い」を投げかける形式の作品はその「問い」が見るものに取って共振可能か、またはその提示方法が観客の興味をひくものであることが「問わ」れてくると思うけど、僕は問いかけそのものが理解できなかった感じでした。
これ、バタイユ読んでないと分からないたぐいのものなのかなあ?だとするとお手上げですわ。おっぱいが見れたのはいいとして(結構可愛かったし)、すんません、それ以上のものはつかめませんでしたあああ!
おっぱいは見れたからちょっとお得な気もするけど、作品が消化不良でグダグダ文句言ってるのって、どっかで聞いたことあるようなと思ったら、よくある「風俗でやることやったあと女の子に『こんなこといつまでもしてちゃダメだよ』って説教するオヤジ」そのものジャン!
あっ、そうやって興味本位で観に来たあげく怒ってる観客を「それ、カッコ悪いよ!」って気づかせる戦法か?
う〜ん、深けえなあ。